空に文字を書くやり方は?飛行機雲の原理や仕組みを調べてみた
今回は、飛行機雲ができる仕組みについて調べてみました。
いや、航空自衛隊の航空ショーで、空に文字を書くじゃないですか。
あれって、どういう原理なのかな?って気になったものですから。
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飛行機雲はエンジンから出た水蒸気が凍ってできる
さて、Twitterでこんなつぶやきが話題です。
友人から送られてきた今日の写真。
フランスのリヨンの空。
出くわした日本人は皆感激してる。 pic.twitter.com/BKW3yALf2n— うるる (@HPVdixEcbDoEKW4) 2018年9月8日
皇太子様がフランスに訪れていることも関係しているようですが、「JAPAN」ではなく「日本」と漢字で書かれているのがまた嬉しいですね。
ところで俗に言うこの飛行機雲って、どうやって空に文字を書いているのでしょうか?
パイロットの任意で雲を出したりできるのかな?
こんな飛行機雲が発生する仕組みについてです。
今回のフランスの「日本」の文字は、これを応用して書いたのではないかと僕は思っています。
保育園児が必ず空を指差す、あの飛行機雲。
その正体は、氷のつぶてです。
つぶてとは、簡単に言えば小さな小石のようなもの。
飛行機って、当然エンジンが燃料を燃やして飛んでいます。
ということは、燃焼をしているエンジンからは水蒸気が出ますよね。
それが凍って氷のつぶてとなり、地上からそれを見ると白い雲のように見えるのです。
で、ここがポイントなんですが、水蒸気が凍るってことはそれなりの高度がなければ凍りません。
高いところへ行けば行くほど、気温は低くなります。
高度が100m上がると、気温が0.5度下がるって言われてます。
飛行機雲は高度6,000m以上の高さが必要
そして飛行機雲ができるためには、およそ高度6,000m以上が必要と言われています。
6,000mって、どれぐらいの高さなんでしょう?
富士山よりは遥かに高いですが、エベレストよりは低いです。
商業用の飛行機は通常1万メートル前後を飛行しており、巡航時は6,000m以上を飛んでいます。
でも飛行機が飛んでいても、必ず飛行機雲ってできるわけではないですよね?
どちらかというと、飛行機雲ってけっこう珍しいのでは?
それはおそらく離発着の前後で、単に高度が低いだけってこともありますが、実は飛行機雲って気温が低いだけで発生するわけではないのです。
その他の条件にも、影響されるんですね。
飛行機雲は気圧などの条件にも左右される
例えば、飛行機雲は高気圧が近いと発生しにくく、反対に低気圧が近いと発生しやすいなどの条件があります。
低気圧=湿った空気、で湿度が高いからです。
また、飛行機雲が発生しても消えるまでの時間に違いがあったり、条件によっては出たり消えたりする場合もあります。
ここまでをまとめると…
飛行機雲の原理は、エンジンから排出された水蒸気が急速に冷やされて、氷のつぶてとなったのがその正体です。
僕たちが寒い屋外で、ハァ~と息を吐いてそれが白くなるのと同じ原理ですね。
飛行機雲って、意外とシンプルな仕組みということが分かりました。
今日は飛行機雲がいっぱい☁
上空は寒いんだね。
【気温が低い、十分な水蒸気、気温や露点温度(水分が結露する温度)、地面から6000m以上の条件が揃わないと飛行機雲が出来ないらしい。】
原理は寒い日に息を吐くと白くなるのと同じらしい。 pic.twitter.com/Wr8BBe9A7h— tomo (@love1385103) January 27, 2016
航空ショーでは煙で空に文字を書いている
じゃ、冒頭のフランスの飛行機雲の文字も、敏腕のパイロットが高度6,000m以上で書いたものなんのでしょうか?
でも、僕はちょっとこれには疑問があるのです。
飛行機雲って、基本「出っぱなし」ですよね?
エンジンが回っている限り、水蒸気は排出され続けているわけですから。
でも「日本」って文字で書くには、次の画数を書くまでの間は雲を出しては行けません。
Twitterの画像を見れば分かりますが、一筆書きではなく一画一画キチンと書かれています。
ということは、次の一画に行くまでの間はエンジンを停止しているってことでしょうか?
いやいやいや、さすがにそれはムリでしょ。
どうやらあのフランスの「日本」の文字の正体は、氷のつぶてではなさそうです。
実は水蒸気ではなく、スモーク…つまり煙なんですね。
「日本」の文字も、飛行機曇で書かれたものって思っていましたが、実は全然ベツモノだったわけです。
ブルーインパルスはオイルで空に文字を書いている
自衛隊の航空ショーって、見に行ったことありますか?
航空自衛隊にはブルーインパルスっていう曲技飛行隊があり、広報活動を主な任務として行っています。
このブルーインパルスの航空ショーです。
ブルーインパルス 松島基地 118
2018 9.6 スター・クロス pic.twitter.com/ySLolLQlCR— ウルフパック (@EkhtXZPRqUcb6gK) 2018年9月8日
↑ちょうどいい動画を見つけました。
この動画を見てもらえば分かりますが、煙をパイロットの任意で出したり止めたりしています。
「出っぱなし」の飛行機雲とは、明らかにでき方が違いますよね。
この仕組みですが、ブルーインパルスには独自の装置がついていて、そこからオイル(機械油)を噴出しているのです。
ここから出たオイルがエンジンの排気で白い煙となり、あのような白い雲になって見えるんですね。
つまり、パイロットがオイル噴出ボタンを”ポチッとな”すれば飛行機雲ができ、これでうまく空に文字を書いているという原理になります。
言われてみれば、航空ショーの飛行機雲の雲って、白だけでなくカラフルな色もありますよね。
赤・青・黄色など。
雲に色が付いている時点で、水蒸気が凍ったものではないことぐらいは容易に想像できます。
それに動画を見ると何となく分かりますが、高度が6,000mもありません。
ブルーインパルスは、2,000~3000mぐらいの高度で飛行しています。
ブルーインパルスがやってくる。
東京オリンピック開会に伴いブルーインパルスが入間基地にやって来ます。
1 展開 7月19日(月)午後、3個編隊、計12機が着陸
2 事前訓練 7月20日(火)~7月22日(木)のいずれか1日
3 展示飛行 7月23日(金)
4 撤収 7月24日(土)午後、3個編隊、計12機が離陸 pic.twitter.com/qQiH6FuoSl— 小江戸川越STYLE (@SHIN8KOKO) July 16, 2021
空に文字を書くことをSkywritingと言う
尚、このように飛行機で空に文字を書くことをSkywriting(スカイライティング)と呼びます。
このスカイライティングができるようになるまでには、一体どれだけの訓練と技術が必要なんでしょうか?
特に仲間数機と一緒に飛行する航空ショーでは、チームワークも大切ですからね。
この点をブルーインパルスのパイロットに聞くと、アクロバット飛行の編隊飛行中は感覚的なもので操縦しているそうです。
飛行中は仲間の機体の「この部分が見えるぐらいかな」って、体で覚えた感覚で操縦しているとか。
それでよくあんな文字とか書けるなぁって思いますけど、これも訓練の賜物なんでしょうね。
ブルーインパルスのパイロットの任期は3年間なので、たったの3年であれだけの技術を身に付けているわけです。
車の運転も感覚ですが、車は2次元の平面。
飛行機はこれに上下が加わり、さらにアクロバット飛行なので「G(遠心力)」もすごいですからね。
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