「あれ、本当に動いてた?」ってなりましたよね?
スターツアーズのワープシーンで感じる、あのG。
「映像と揺れが合わさってるんでしょ」
とはわかっていても、どうしてあんなにリアルなのか、改めて考えると不思議です。
実は、あの感覚には航空業界が長年かけて開発してきた、すごい技術が使われているんです!
その仕組みを知ると「よくできてるな……」と感心します。
ここでは、スターツアーズの落下や加速、そしてワープなどの仕組みについて解説。
ついでに、これらから分かる「乗り物酔いしやすい人に向けた話」も紹介しますね。
正体は本物のフライトシミュレーター
ディズニーのスターツアーズのライドは、もともと航空機パイロットの操縦訓練に使われていた「フライトシミュレーター」の技術を応用して作られています。
ウィキペディアによると、レディフュージョン社製のフライトシミュレーターをベースにした
アトラクション。
1989年の開業当時から、この技術を採用しています。
フライトシミュレーターとは実際に飛行機に乗らなくても、飛行中の感覚を体験できる装置のこと。
パイロットが緊急事態の訓練をするためのものなので、当然ながら「本当に飛んでいる」と錯覚させるほど精度が高いです。
そのスゴイ技術が、そのままアトラクションに転用されているのですから、あのリアルな臨場感は当然と言えば当然ですね。
機体の下には油圧アームがある
スタースピーダー(スターツアーズのライド)の外側を見ると、機体の下部に複数の油圧式アーム「アクチュエーター」が取り付けられています。
このアームが伸び縮みすることで、機体が上下左右前後に傾いたり、スライドしたりする仕組みです。
具体的には、
・前後の傾き
・左右の傾き
・前後のスライド
・左右のスライド
・上下のスライド
・左右の方向転換
という6軸方向の動きが可能です。
実際には、機体はほとんど移動しません。
その場で、アームに支えられながら傾いたり振動したりしているだけで、宇宙を飛び回っているわけではないのです。
ワープや加速・旋回・落下の仕組みとは?
スターツアーズの中で「一番リアル!」と感じる人が多いのが、ライトスピード(ワープ)のシーンです。
あの瞬間、体が座席に押しつけられるような感覚があって、本当に猛スピードで加速しているように感じますよね。
では実際に、機体はどう動いているのでしょうか?
旋回や落下の仕組みも、合わせて説明します。
後ろに傾けて加速感を出している
ライトスピードのシーンでは、機体は後ろが下がるように傾いています。
つまり、のぼり坂を上るような姿勢になってるだけです。
これだけで、なぜ強烈な加速感を感じるのでしょうか?
車で、急発進した時を思い浮かべてください。
前に向かって加速すると、体は慣性によって後ろへ引っ張られますよね。
これは「慣性の法則」によるものです。
動いていない物体は、動いていない状態を維持しようとするため、乗り物が前に進んでも体はその場に留まろうとします。
結果として、座席に押しつけられるような感覚が生まれます。
スターツアーズでは、この感覚を機体を後ろに傾けることで再現しています。
のぼり坂では体の重心が後方に移動するため、脳は「後ろに引っ張られている=加速している」と解釈(錯覚)するのです。
前に傾けて急停止を演出している
反対に、急停止のシーンでは機体が前に傾きます。
電車が急ブレーキをかけると体が前のめりになるのは、進行方向に体が引っ張られる慣性の法則が働くためです。
機体を前に傾けることで同じ効果を生み出し、「急に止まった」という感覚(錯覚)を作り出しています。
左右への旋回は機体も同じく傾く
映像の中で宇宙船が左右に曲がるシーンでは、機体もそのまま左右に傾きます。
これはジェットコースターなどと同じ感覚で、分かりやすシンプルな動き。
体が自然な方向に引っ張られるため、違和感なく「曲がった」と感じるわけです。
落下は前傾と映像の組み合わせ
下降するシーンでは、映像では下に向かって落ちていくように見えます。
しかし、機体が前に傾くことで、下向きの慣性を再現する仕組みです。
ここが、少しわかりにくい部分ですね。
「映像では下降しているのに、体感では前のめりになる」という感覚。
これは、脳が映像の情報を優先処理することで、成立しています。
視覚が「落下している」と判断すると、体の傾きの感覚も「落下した」と補完(修正)するのです。
人間って、目から入った情報を信じるんですよ。
酔いやすい人の体に何が起きているか?
スターツアーズで気分が悪くなる人がいる理由も、仕組みを知るとよくわかります。
乗り物酔いは目から入る情報と、体が感じる情報のズレによって起きるのです。
これを「感覚の不一致」または「感覚器の矛盾」と呼びます。
医学的には、視覚と前庭感覚(耳の奥にある体のバランスを感知する器官)のズレが、主な原因とされています。
スターツアーズでは、映像は「高速で宇宙を飛んでいる」という情報なのに、実際の体は「ほぼ同じ場所に座っている」状態です。
しかも映像が3Dになっているため、視覚への刺激がより強くなります。
目は「激しく動いている」と認識しているのに、耳と体は「あまり動いていない」と感じている。
この矛盾した信号が脳に届き続けることで、自律神経が乱れ、吐き気や頭痛といった症状が出やすくなるわけです。
酔いやすい人への対策としては、
・視線を画面の中央に固定すること
・事前に酔い止めを服用しておくこと
・空腹や満腹の状態を避けること
が効果的です。
もちろん、乗る前にアルコールを摂取するのもやめましょう。
仕組みを知ったうえで「映像を信じすぎない」と意識するだけで、症状が軽くなる人もいます。
機体はその場でゆらゆらしているだけ
スターツアーズに乗って宇宙を旅した気分になれるのに、実際の機体が移動する距離は、せいぜい数十センチ程度という悲しい現実です。
宇宙を光速で飛び回っているあの感覚は、機体の傾きと3D映像の組み合わせで、生み出されています。
海外のバックステージ動画(下記)では、アトラクション中のスタースピーダーが外から撮影されており、思いのほか地味な動きをしているのが確認できます。
あれだけの迫力を感じさせておきながら、機体はその場でゆらゆらしているだけ。
見た目と体感のギャップが、フライトシミュレーター技術のすごさを逆説的に示しています。
↓パリのディズニーの動画ですね。
いや、これ見るとかなり傾いていますよ。
荒波の船みたいに揺れるので、こんなの別に映像なくても乗るだけで酔うわ。
また、タラップの仕組みも面白いです。
乗り込む際に渡るあのタラップは、アトラクション開始と同時に跳ね上がって収納されます。
機体が動き始めると邪魔になるため、乗降口を支点として自動で上に上がる仕組みになっています。
乗っている間は気づきませんが、知ると「なるほど!」と思える設計ですね。
人を騙すために作られたわけではない
スターツアーズが、あれほどリアルな体験を生み出せる理由は、航空業界の技術と、人間の感覚の特性をうまく組み合わせているからです。
機体は実際にはほぼ動いていないのに、脳は「宇宙を飛んでいる」と完全に信じ込む(騙されている)。
これは視覚が他の感覚よりも、強く優先される人間の脳の特性を、エンジニアたちが意図的に利用した結果です。
個人的に面白いと思うのは、この技術が「人をだます」ために作られたわけではない、という点です。
パイロット訓練という、真剣な目的のために磨かれた技術が、エンターテインメントに転用されることで、世界中で何千万人もの人を楽しませているのです。
そう考えると、スターツアーズのライトスピードシーンも、少し違う目で見えてくるかもしれません。
乗り物酔いが不安な人は、機体の仕組みを理解したうえで、
「体は動いていない、俺は騙されない…」
と念じながら乗ってみると、意外と症状が軽くなるかもです。
ぜひ、次の乗車前に頭に入れておいてください。

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